私と貴方とあの子と・・・【完】
・・・郁が私と同じ気持ちなら良いのに・・・
郁も私の事好きになってくれたら良いのに・・・
そんな気持ちは、私の席まで来てトイレに誘ってくれた楓により隠れる。
『ここ、入り込んだところにトイレあるから分かり辛いんだ』と言いながらトイレまで案内してくれる楓。
2つ付いている個室にそれぞれ入り、先に出た私が手を洗っていれば楓も出てくる。
「さっきさ~折角香坂君の隣ゲットしたのに、桃花の隣が空いた途端に移動しちゃうんだもん!
落胆したよ~。
女子に囲まれて質問攻めされてたから、桃花のところ逃げたのかな~」
手を洗いながら残念そうに眉を下げる楓。
そうだ。
郁は楓の好きな人。
楓は郁が好き。
・・・私は?
楓が郁の事好きなの知ってるのに・・・それなのに郁が好きだと気づいてしまった酷い女。
『郁が私の事好きになってくれれば良いのに』なんて・・・