私と貴方とあの子と・・・【完】






『桃どこにいるの?』


『カフェテリア来ないの?』


『忙しいの?』


『桃会いたい』



そんな短いメールに、さりげなく交わすメールを送り、
ため息を吐く。


今まで郁と会うのに約束をしてた訳ではない。




つまりは、私がそこへ行かなくてはならない理由は無くて、
ただ私は、郁に会って郁と同じ時間を過ごしたくてカフェテリアに通っていたのだ。



・・・郁への気持ちを悟られたくなくて、邪魔もしたくない。



だからと言って楓と郁の応援もできない私は、
自然とカフェテリアでの勉強に飽きたと装って、
図書室で空き時間を過ごす。

郁にも楓にも『どこいるの?』と言われるが、
怪しくない程度の言い訳をして過ごす。



しかし・・・



いつもカフェテリアでは捗るはずの勉強が進まなくて、
集中力が直ぐに切れては『今頃二人は仲良く話してるかな』なんて考えて、
一人で気持ちが落ちていく。



落ち着かない。





二限目に楓と同じ講義に出れば、
『もう!今日も郁斗君と二人で待ってたんだよ!』なんて決まり事のように言われる。


梅雨に入り、湿気に包まれるこの頃・・・
いつの間にか呼び方が『香坂君』から『郁斗君』になってた楓。




 
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