私と貴方とあの子と・・・【完】



もしかしたら気づかなかっただけかもしれないけど、
でもこの講義でこんな人が居たら皆が騒ぐはずだ。

現にこの講義に出る女子皆がこっちをチラチラ見ている。
見てないのは夢に旅立った楓だけだ。




「あの・・・」


「ん?」





『この講義選択してました?』と言おうとして言葉を呑む。

もしも出ていたとしたらとても失礼だし、
もしかしたら事情があって今までこの講義に出れなかったのかもしれない。


「ここ、空いてるよね?」





なかなか答えない私に、もう一度彼が聞いてきた。


「あ・・・はい。どうぞ」


私はそのまま受け流すことにして、彼の座った席の前に置いてあった私のバッグをどかした。


すると直ぐに教授が入ってきて、教室が静かになった。







 

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