私と貴方とあの子と・・・【完】
教授が放つ呪文のような専門用語を聞きながら、聞き漏らさないようにせっせとノートを取る。
最初は真面目に取り組んでいた生徒も、時間が立つにつれて眠りの世界へ行ったり・・・スマホをいじったり・・・
ノートへの書き取りが一段落すると、フーッと静かに息を吐いた。
すると、「ねえ」と小さな声で話しかけてくる彼・・・
ちらっと横を見れば私は目を見開く。
「教科書とノートは?」
彼は、教科書もノートも出してなかった。
「あー・・・」
気まずそうな、困ったような顔をする彼。
そこで私はハッとする。
「ごめんね。今まで気づかなくて・・・」
そう言いながら自分の教科書を彼の方へ少しずらした。
ついでにルーズリーフを取り出す。