私と貴方とあの子と・・・【完】




「私は素直な気持ちで、郁斗君を好きになったから、素直な気持ちで追いかけた。
でも、郁斗君は初めから桃花しか見てないんだよ」




その顔が真剣で、私は返事すらできない。



「郁斗君、いつも桃花を目で追ってた。
最初から気づいていたの。『郁斗君は桃花が好きだ』って。

でもさ、郁斗君は桃花に臆病だったし、桃花は郁斗君好きなの気づかないし、付け入るチャンスだと思った。


好きなんだもん。チャンスがあるなら逃したくない。


だけどやっぱり、最初から駄目だったの。
私が好きだったのは『桃と一緒にいる郁斗君』だったんだよ。

桃と一緒にいる郁斗君は笑顔だけど、

桃が隣に居ない郁斗君は、いつもキョロキョロ桃を探していて、上の空で返事するだけ。わかる?」





 
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