私と貴方とあの子と・・・【完】
一気に話された楓からの告白。
「え・・・私が郁好きなの知ってたの・・・?」
私が食いついたのはそこだった。
楓は私のおでこを人差し指でツンっと突いた。
「あんな特別な雰囲気でしかも『郁』『桃』なんて言い合ってたら気づくっつーの!」
「桃花は知らないだろうけどね、郁斗君は絶対他の人に『郁』とも『桃』とも呼ばせなかったんだから。
他の人が呼ぼうものなら睨んで止めてたよ」
郁が睨むってあまり考えられない。
いつも天使みたいにフワフワしているイメージがあったから・・・
「桃花はさ、友達に対して義理とか人情を意識しすぎ!
恋愛にはルールなんてないんだから、自分の気持ちに素直にならないと」
「・・・楓・・・怒ってない?私楓の気持ち知ってて裏切った」
「馬鹿。私なんて最初から桃花の気持ち知ってて郁斗君好きになったから!
桃花はそれで私を怒るの?」
楓に呆れられた様な感じで問われ・・・
「怒ってない!」
私ははっきりと答える。
すると楓は、フッと微笑んで・・・
「うん。なら素直になって。
私の好きな『桃花の隣に居る郁斗君』連れ戻してよ。
今の郁斗君カリカリしてて、笑わないし嫌だ」