私と貴方とあの子と・・・【完】


「桃が欲しそうなの買おうとするんだけど、いつも凄い拒否られて『自分で買うから!』って言い張って。
自分で買ったんじゃ俺が意味ないんだけどな~って・・・

だから、昨日勝手に買ったネックレスを桃に渡したんだよね。
・・・そしたらすっごい拒否られて『お金払う』とか言われて、最終的には無理矢理付けて渋々タダで受け取ってもらえたけど、
今日になってメールで『今日午前中は行けないから』って来てさ・・・


安物のネックレスをプレゼントしただけで午前中会いたくない程怒るなら、今後どうやって桃に物を受け取らせたら良いだろうって思って・・・」







ああ、こいつネックレスの束縛なんかは挨拶程度で、本当は指輪をプレゼントしたいんだな・・・って思った。


俺、勘が鋭い方って訳じゃないけど、
夏休み中郁斗の『桃花ちゃん愛』っぷりを聞いていたら、薄々わかることだった。
なんせ1年思い続けて、一回振られたり避けられたりしたものの、罠を張ってまで呼び寄せて捕まえたくらいだからね。








郁斗は大学でも女子から人気がある。そんな整った容姿をしていて、俺も春の間はそれを使わせて貰ってた。


だが、そんな郁斗が一人の同級生に高校時代から惹かれ夢中だ。
桃花ちゃんと想いが通じてからは、それまで以上に傍に引っ付いて居る。




桃花ちゃんが関わるだけで、こんなに悩んだり不機嫌になるなんて・・・
と考えると第3者からは面白くてクツクツ笑ってしまったが、

たまには友人として助けてあげたいなと思いスマホを取り出す。










電話帳からある人の名前を出して、耳元へスマホを持っていく。


暫くのコールの後、「風間君?どうしたの?」と電話に出たのは、
目の前のイケメンの頭を占める彼女・・・桃花ちゃん。




 
< 62 / 65 >

この作品をシェア

pagetop