侍ヴァンパイア
しょげるか文句の一つくらいでも言ってやるのかと思ったけど、女はケーキを見つめて、じっと物思いにふけっている様だった…



見たとこ相当な上玉…



もうじき死ぬとも知らずに、、、



ボケーっとした変な女ーーー



この女から放たれる香りは、何か昔を思い出せそうで、透明人間?イヤ、透明ヴァンパイアのまま駅のホームまでついて来た俺は、静かに女の隣に腰掛けた…



あれから暗れー顔ばっかで、
今にも命の灯火が消えそーな感じ…




ふと何かの視線を感じて、前のガラスに目を向けたら
女と目が合ったーーー



んっ!?



何で目が合うんだ?


俺の頭の中は、今まさにクエスチョンで一杯だった



ヴァンパイアは鏡に写らない存在、
ましてや、今は透明ヴァンパイアな筈…だったよな?


食い入る様に見ていたら、女はビクッと小さく跳ねて視線を反らすーーー

次の瞬間、死相は、みるみる濃くなってさらに女にまとわりついたーーー

今はでも、そんな事よりーーー

ーーー確実に、俺に気付いてた事が気になるーーー



長い事生きてきて、初めての出来事に驚き過ぎた俺は、思わず他の奴にも同じ様に試してみたが、やっぱり見えていないようだった…



情けねーな、何期待しちゃってんだ俺は…



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