乱華~羽をくれた君~Ⅱ【完】
「今度こいつの前に現れたらただじゃおかねーから」
「…くそっ」
男は痛そうに手首を抑えながら走って行った。
それを見てホッとしていると、陸さんがあたしの顔を見てため息をついた。
「何ホッとしてんだよっバカが!」
そう言って両頬を軽く引っ張られる。
「いひゃいっ!」
「こんな時間に外で待ってるなんて信じらんねぇ!店ん中にいろよ!」
「ご…ごめん」
「ったく…行くぞ」
陸さんはあたしの手を握り歩き出した。
久々に感じる陸さんの体温…
すごく安心する。
「…今日居酒屋のバイトは休みなの?」
「ん」
「…なんで相談もなしに決めちゃったの?あたしが同じ事したらすごい怒るくせに」
「ああ、わりぃな。すぐ決めなきゃなかったから」