乱華~羽をくれた君~Ⅱ【完】
「いやぁ、なんつーか、見た目によらず硬派だな。俺がそんくらいイケメンだったら色んな女と遊びまくってるけど。彼女いんのか?」
「…まぁ」
「おおーお前を落とした女か!すげぇなぁ。彼女はここで働くこと知ってんだろ?」
「…」
…あいつに嘘をついてると思うと、なんだかモヤモヤする。
このバイトも奈緒に言わないで勝手に決めた事だったしな。
俯いたままの俺に、店長は続けて言った。
「ああ、何があったかしらねーけど、稼いだらお前は早くこの世界から足洗った方がいい。こういう所は長くいない方いいんだ。…って、初日から店長がこんなこと言うなって感じだけどなっ」
そしてまた笑う。
店長はちょっと変わってる奴だけど、悪いやつではないようだ。
営業前にミーティングがあり、そこで店長は俺を他の黒服や嬢に紹介した。
そこには頭を高く盛って、いつもより化粧が濃い美優の姿もあった。