乱華~羽をくれた君~Ⅱ【完】
その夜、閉店の一時間前くらいに一人のサラリーマンが来た。
30代くらいの真面目そうな奴だった。
そいつは美優を指名した。美優は店でNO5に入るくらいの人気嬢で、この日も指名客が何人も来ていた。
「うわっ美優さんが今付いてる客また来てるよっ」
近くにいた黒服が美優の客を見て嫌そうな顔をしている。
「…あの客、しょっちゅう来てるんすか?」
「おお、桐谷…。そうなんだよ、美優さんにストーカーまがいなことしてるって店長が言っててさ。ちょっとやばいんじゃないかって最近みんなで話してたんだ」
あいつか…美優が言ってた客は。
「…そのストーカーまがいなことって?」
「なんか美優さんの家の前で待ち伏せしてたり、電話やメールがしつこいらしい」
ストーカーまがいじゃなくて、ホントのストーカーじゃねぇか。