乱華~羽をくれた君~Ⅱ【完】
「り…陸…」
美優が震えながら俺の腕に抱きついてきた。
頭を上げた店長は振り返り、俺らを見つめた。
「お前ら…店の前で何やってんだよ。客に殴りかかるなんて言語道断だ」
「…すいません」
俺が頭を下げると、そばにいた美優が、
「あたしが彼氏のふりをしてって頼んだんです!あのお客さんしつこいから…」
と、俺をかばうように店長に言い訳していた。
「俺もそれはわかってたよ。でもな、もっと違うやり方だってあるんだ。ゆっくり話をすればあのお客さんだってわかってくれたかもしれないだろ。あんな風にしてまた逆ギレでもされたらどうするんだ!?ストーカーどころじゃないぞ」
店長の言葉はごもっともな意見だった。
俺はすぐにカッとなってしまう癖がある。
「2人とも少し頭を冷やせ」
そう言って俺らの肩をポンと叩き、店の中に入って行った。