乱華~羽をくれた君~Ⅱ【完】

「陸…」


「でもな、お前自分の事もっと大事にしろよ。お前の仕事のやり方にとやかく言うつもりねぇけど、あの客みたいに勘違いするやつだってほかにもいんだからさ…」

すると突然美優が立ち上がり、俺の胸に飛び込んできた。


「あたし…陸がやめろっていうんならこの仕事辞めたっていい…お金がなくても…陸さえいてくれればいい…」


美優の肩が震えていた。


「そういうこと言うなよ」


そうつぶやくと美優が顔を上げた。


「あたしじゃ…ダメ?もう一度陸とやり直したいよっ…」


そう言って俺の胸で泣きじゃくってくる。

美優の体は頑なに俺の側から離れようとはしなかった。





< 126 / 296 >

この作品をシェア

pagetop