乱華~羽をくれた君~Ⅱ【完】
「西区か…電車だな」
「ねぇ、本当に行くの?」
「ああ、だってお前も気になるべ?」
気にならないなんて言えなかった。
今のあたしは、こんなことしちゃダメだってわかってても、真実を知りたがっている。
あたしたちは名刺の住所を元に、電車で30分の所にある、繁華街に向かった。
金曜の夜ということもあり、街は多くの人で賑わっていた。
「とりあえず、店の近くで待機だな。どっちにしろ黒服は閉店してからじゃねーと出てこないかもしれねーしな」
そうなんだと感心しつつも、どうして高校生の康大がこんなに夜の世界に詳しいのか謎だった。
クラブアクアのすぐそばにあるバーっぽいカフェに入り、あたしたちは窓際の席に座った。
ここからだと、クラブの入口がよく見えるから。