乱華~羽をくれた君~Ⅱ【完】

どうしてあたしのためにここまでしてくれるんだろう。


ひまだったから?

あたしが今日映画に付き合ったから?


「ねぇ康大…」


問いかけようとしたとき、それに合わせて康大が「あ!」と叫んだ。


その声にあたしもクラブの出入り口の方に目を向ける。


ドクンと心臓が音を立てた。


陸さんの姿を見つけてしまったから。

昨日部屋にあったスーツに身を包み、何やらお客さんらしき人としゃべっている。


あたしたちはカフェを出て、近くまで行ってみることにした。


心臓がうるさく鳴り響いている。

もしも陸さんに見つかったら…


クラブが入っているビルの、隣のビルの看板の裏に隠れ、そっと陸さんの方を覗いてみた。


何度見てもやっぱり陸さんだ。




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