乱華~羽をくれた君~Ⅱ【完】
2人っきりのところなんか見たくない。
あたしが目を背けようとしたその時、美優さんが陸さんに抱きついた。
そして泣いているのか肩を震わせている。
全身の血の気が引いていくのがわかった。
その場に立っているのがやっとで、あたしは看板に手をついた。
どうして?
なんでこんな事になってるの…?
陸さんが、美優さんを抱きしめ返した瞬間、あたしの視界が暗くなった。
「…見るな」
康大が後ろから両手であたしの目を塞いでくれていた。
その暗闇の中、あたしは絶望と、悲しみと嫉妬と、沢山の感情があふれ出てきて、喉の奥がつんと痛くなった。
ぐらりと体が後ろに傾き、それを康大が支えてくれた。