乱華~羽をくれた君~Ⅱ【完】
「…行こう」
康大に肩を抱きかかえらながら、あたしたちはその場を後にした。
陸さんが美優さんを抱きしめていた。
その場面が、頭から離れない。
“どうして”
ただそれだけが頭の中を駆け巡っている。
近くの公園に辿り着くと、康大はあたしをベンチに座らせた。
そして自分も隣に座ると、大きく息をはいた。
「ごめん…」
そう呟くように言って、うなだれた。
あたしは返事すらできずにいた。
「俺が確かめに行こうなんて言わなきゃよかったんだよな…」
これが現実なのか夢なのか、頭がふわふわしててよくわからない。
でも涙を堪えているせいで、喉が苦しく痛いから、きっと夢じゃないんだろう。
そう思った瞬間、我慢していた涙腺が切れた。
次々と流れ出す涙は、大きな滴となって、あたしの手の甲にぽたりと落ちた。