乱華~羽をくれた君~Ⅱ【完】
「これ飲めよ」
康大は、そう言ってあたしの隣に座り、缶コーヒーの蓋を開けてあたしに渡した。
「…ありがとう…」
泣きすぎて声もガラガラになっていた。
「…お前その顔やべーぞっ」
あたしの顔をまじまじと見て苦笑いしている。
「ちょっ…、見ないでよっ」
咄嗟に下を向いた。
確かにすごい顔してると思うけど、そんな事言わなくったって…
康大の前で泣いてしまった事が、急に恥ずかしくなった。
「つーかあんな男のどこがいいの?」
「…え?」
顔を上げると、そこには真剣な目をした康大がいた。
「嘘ついて、彼女をそんな風に泣かせてさ。いい彼氏だとは思えねーけど」
「…でも…何か理由があるのかもしれないし…」