乱華~羽をくれた君~Ⅱ【完】


「他の女を抱きしめるのにも理由があんのかよ」


康大のその言葉が深く胸に突き刺さった。

どんな理由があるにしろ、美優さんを抱きしめていたのは事実だ。

それはこの目であたしもはっきりと見た。

やばい。また泣きそうになってしまう。


「わりぃ、藤沢を傷つけるつもりはなかった…ただ俺は彼氏にイラついてて」


「うん…わかってる。…でもね、今日来てよかったと思ってる」


「え?」


「ここに来なきゃ、あたしはずっと知らないままだったでしょ?確かに知らなくてもいいこともあるかもしれないけど…あたしはそういうの嫌なの。陸さん…彼氏のすべてを知っていたいから」


あたしは陸さんのすべてをわかっているつもりでいた。

だけど、知らない事ってまだまだたくさんあるんだね。

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