乱華~羽をくれた君~Ⅱ【完】
薄く笑みを浮かべながらあたしの方を見降ろしている。
後ろには母もいて、笑っていた。
「奈緒ったらそんな乱暴な言い方して~。陸君に嫌われても知らないんだからっ」
「いや、もうこいつの本性はわかってますから」
陸さんと母が顔を見合わせて笑っている。
なんでここに陸さんが…!?
頭が真っ白になった。
「じゃあ、私は下に行くから。陸君、ごゆっくりね」
そう言って、母は部屋のドアを閉めて階段を下りていった。
陸さんが再びあたしに視線を戻し、今度は大きなため息をついた。
「…電話出ろよ」
安心したようにベッドに腰を下ろすと、ポケットから煙草を取り出した。
「…ごめん。疲れて横になったらそのまま眠っちゃったみたい」
これは本当の事だもんね…