乱華~羽をくれた君~Ⅱ【完】
「そんな風に思ってたんなら、早く言えよ」
「違うっ…そんな事…」
「ちがくねぇだろっ!?」
少し大きな声で怒鳴られ、怖気ついてしまった。
「信じられないなら、この先付き合ってく意味もねーよ」
そう言って、陸さんはあたしの事を冷めた目で見た。
2年前の付き合いたての頃、よく見せていた顔だ。
人を信用していないような目を、ときどきしていた。
あの頃の陸さんに…
戻ってしまった。
いや、あたしがそうさせてしまった。
一切あたしの方を見ようとはせず、あたしの家の前に着くと、そのまま帰ってってしまった。
あたしは引き留めることすらできない。
目には涙が溢れていて。
陸さんの後ろ姿を、涙に滲んだ視界で見つめるしかなかった。