乱華~羽をくれた君~Ⅱ【完】


その言葉に広樹はじーっと俺の顔を見つめてきた。


「…なんだよ、気持ちわりーな」


「陸君、今めっさ機嫌悪いね?」


「……」



俺はポケットから煙草を取り出し、しゃがんで火をつけた。

その隣に広樹も腰を下ろす。


「うわっ!」


そして俺の手を見て驚いた。



「陸!手!血出てんぞ!」


右の拳から血がドクドクと流れている。


「あー…」


「その傷…壁かなんか殴ったんしょ!?」



頷くと、再び俺の顔を見つめてくる広樹。



「奈緒ちゃんとなんかあった?」


「…いや」


「いんや、ぜってーあった!」


「…てめーもしつけーな」




広樹がしつこいのは今に始まった事じゃねぇが、時々うざく感じる。

まぁ、心配してくれんのはありがたいが。


< 201 / 296 >

この作品をシェア

pagetop