乱華~羽をくれた君~Ⅱ【完】
その言葉に広樹はじーっと俺の顔を見つめてきた。
「…なんだよ、気持ちわりーな」
「陸君、今めっさ機嫌悪いね?」
「……」
俺はポケットから煙草を取り出し、しゃがんで火をつけた。
その隣に広樹も腰を下ろす。
「うわっ!」
そして俺の手を見て驚いた。
「陸!手!血出てんぞ!」
右の拳から血がドクドクと流れている。
「あー…」
「その傷…壁かなんか殴ったんしょ!?」
頷くと、再び俺の顔を見つめてくる広樹。
「奈緒ちゃんとなんかあった?」
「…いや」
「いんや、ぜってーあった!」
「…てめーもしつけーな」
広樹がしつこいのは今に始まった事じゃねぇが、時々うざく感じる。
まぁ、心配してくれんのはありがたいが。