乱華~羽をくれた君~Ⅱ【完】
翌日、仕事前に話があると、近くのカフェに店長を呼び出した。
ビシッとグレーのスーツを身にまとった店長が椅子に座ると、即座にポケットから煙草を取り出した。
そして笑顔で「桐谷からこうやって茶の誘いがくるとは嬉しいな」といつものように豪快に笑っていた。
「…店長、俺今月いっぱいで店辞めます」
「…今月いっぱいって…あと一週間もねぇじゃねーか」
「はい」
店長は吸っていた煙草を灰皿に置くと、自分の携帯を操作し始めた。
そしてある画面を俺に見せた。
「辞める理由は…これか?」
画面には、裸で寝ている俺と、その横に愛華が写っていた。
あの日、ラブホで撮られたものだった。
やっぱりあいつら…
拳に力が入る。