乱華~羽をくれた君~Ⅱ【完】
後ろから、美優に抱きつかれた。
まだ開店前でスタッフもキャバ嬢もフロアにはいなかったが、いつ誰に見られるかもわからない。
俺は咄嗟に美優から離れた。
「お前なにすん…」
「陸、やっぱりあたしまだ陸が好き。少しでもあたしに可能性があるのなら…あたしとの未来をちゃんと考えてみてほしい。陸の事、理解してるのは藤沢さんよりあたしの方だっていう自信はあるから…」
美優は真剣な目で俺を見つめた。
「美優」
「あ!ヤバイヘアメイク途中だったんだ!じゃ、またあとでねっ」
美優はそう言い、メイク室に駆け込んで行った。
あいつはこんな俺のどこがいいんだ?
昔さんざんひどい目に合わされたのに、それでも俺を好きだなんて。
美優も変わった奴だと思った。
美優を好きになる可能性なんて…悪いが1ミリもない。
どんな事を言われようと、俺の気持ちはこの先変わることはないだろう…