乱華~羽をくれた君~Ⅱ【完】
「また何かされるかもしれないし…恐怖は消えないよ」
「転勤したっつってたじゃん、それにあれから何もされてねーんだろ?送迎もちゃんとしてくれてんだし、不安になることはねーよ」
「でも…陸っ…」
「前にも言ったけど。俺はもうこれ以上おめーにしてやれることはない」
「そんな…そんなことないっ」
勢いよく、抱きついてくる美優を俺はそっと引き離した。
「昔、おめーにしたことは本当に悪いと思ってる。だからこうやって少しでも力になってやれればって思った。でも、それで何か勘違いしてるならハッキリ言う。俺は美優に何の感情もねぇし、この先おめーとどうなろうとか考えらんねー」
さっきまで笑っていた美優の瞳に大きな涙が浮かんだ。