乱華~羽をくれた君~Ⅱ【完】
「あたしじゃ…ダメなの?だってあたしの方が陸の事知ってるよ?あの子よりあたしの方が陸を想う気持ち大きいよ!?」
「…そうじゃねーんだよ」
「え…?」
「俺がダメなんだ。あいつじゃねーと…。あいつが俺を想う気持ちよりも、俺があいつを想う気持ちの方が、何倍も勝ってっから。あいつ以外、考えらんねーんだ」
美優は項垂れ、手の甲にはいくつもの涙がこぼれ落ちていた。
「…わりーな。でも、お前なら俺よりももっといい奴に出会えるはずだから」
俺は立ち上がり、美優の頭を軽くポンポンと撫でた。
しかし、一向に上を向こうとはしない。
「…帰るわ、また週末な」
玄関に向かって歩き出すと同時に、美優が立ち上がり、キッチンに走って行った。
俺が振り返ると、美優は庖丁の先を自分の喉に突き当てていた。