乱華~羽をくれた君~Ⅱ【完】
「おいっっ!?」
美優の側に駆け寄ろうとすると、
「近寄らないで!」
と、怒鳴られた。
「なにやってんだよ!?」
「…あたし陸の事ずっと恨んでて、いつか認めてもらいたくて…こんな女捨てたんだって後悔してほしくて今まで頑張って自分磨いてきたの…でも実際側にいるとあの頃の気持ちが蘇ってきて。どうしても忘れられなくて…」
「後悔してるよ」
「え…?」
「おめーを苦しめたこと、後悔してる。きっとこの先も忘れねーよ。それに、綺麗になった事は俺も感じてた。だからこそ、夜の世界なんか辞めて、普通の生活してちゃんとした男と付き合ってほしいと思ってんだよ」
「でも…陸の気持ちはあたしの方に向くことは…ないんでしょう?」
庖丁を持つ手が震えている。
俺はその問いかけに静かに頷いた。