乱華~羽をくれた君~Ⅱ【完】
生死の狭間で
――side奈緒――
美優さんが何て言ったのか。
あたしには理解できなかった。
帰宅途中、美優さんからの着信に一度は切ろうと思ったけど、なんだか胸騒ぎがして電話に出た。
その時の美優さんの声は、今まで聞いたことがないくらいに震えてて、なんて言ってるのか全然聞こえなかった。
ただ、その様子から、ただ事じゃない事はすぐにわかった。
「え?何て言ったんですか!?」
『あたしが…陸をさし…』
後ろがざわついてるのもあって、言葉の節々がとぎれとぎれに聞こえる。
「美優さん、聞こえないです!」
『久米の総合病院にきてっ…陸が死にそうなのっ』
え――――――――
陸さん―――?