乱華~羽をくれた君~Ⅱ【完】


受付の人にICUで治療中だということを聞き、ますます全身の血の気が引いた。

体中が冷たくなり、感覚がなくなりそうだ。


集中治療室の前で、一人の女の人が項垂れているのが見えた。


美優さんだ。



「み、みゆうさ…」


そう呼びかけると彼女はこちらを向いたが、普段の綺麗な顔からは想像できないくらいに真っ青で、今にも倒れてしまいそうだった。


両手は腕の方まで血まみれで、服にも血が飛んでいる。


あたしは震える足で駆け寄った。



「美優さん!どういうことなんですか!?」


「…ご…ごめんね…」


そう言って血まみれの両手で顏を覆い、泣きじゃくる。



「泣いてちゃわかんないです!陸さんの容体は!?」


その問いかけにも泣くばかりで顔を上げない。


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