乱華~羽をくれた君~Ⅱ【完】
「美優さんっ!!」
肩を掴んで揺らすと、ようやく顔を上げた。
泣きはらしたような目から、次々ととめどなく涙が溢れている。
「意識不明の…重体で…」
「じゅ…じゅうたい…」
なぜこんなことになってしまったのか、どうして二人でいたのか、聞きたいことは山ほどあったけど、今の美優さんに何を言ってもまともな答えは返ってきそうもなかった。
あたし自身もまだこの状況が信じられない。
陸さんが意識不明なんて。
ふざけてるとしか思えない。
でもなぜか、体の震えは治まらない。
2人で幾時間も廊下で過ごした。
美優さんは一向に泣くのをやめない。
そのかわり、あたしは一滴も涙が出なかった。