乱華~羽をくれた君~Ⅱ【完】
いつものようにあたしんちの玄関の前で降ろされ、そのまま帰ろうとする陸さんを、あたしは止めた。
「ちょっと!美優さんに会ったのに何にも挨拶しないなんて!美優さん変に思ったよ!」
「…美優っつーのか、あいつ」
「…うん?」
やっぱり陸さんの様子もおかしい。
あたしと目を合わせないし。
「ね、知り合いなの?なんか美優さんもそんな顔してたし…」
恐る恐る聞いてみると、陸さんはようやく顔を上げた。
「ああ。ちょっとした知り合い。久々に会ったからびっくりしただけ」
「そうなんだ」
その言葉に少し安心する。
「最近マックの先輩ってやつの話してたけど、あいつのことだったの?」
「そうだよ」