乱華~羽をくれた君~Ⅱ【完】
帰るとき、辺見君に気づかれないように舞香に頑張ってねとささやくと、緊張してるのか顔がこわばっていた。
大丈夫かな…
いつも明るい舞香が今日は大人しくて、すごく女の子らしく見える。
でも辺見君も同じ気持ちなら…きっとうまくいくよね!
報告が楽しみだ。
外はもう真っ暗だった。
カラオケ屋の受付はさっきよりも混んでいて、順番待ちをしている人たちが外まで溢れかえっている。
あたしたちはその間を足早に通りすぎた。
「あ!」
と、前を歩いてた康大が突然立ち止まり、振り向いたのでびっくりした。
「ど、どうしたの?」
「無意識でこっちに歩いてきたけどさ、おまえんちどっち?」
「こっちだけど…有明の方」
「了解、じゃ家まで送るわ」
「えええ!いいよいいよ!」
あたしは大きく手を左右に振った。