乱華~羽をくれた君~Ⅱ【完】
息を整えてから通話ボタンを押した。
「も、もしもし…?」
『おう。連絡できなくて悪い。今どこ?』
久しぶりに聞く陸さんの声…
「友達とカラオケ行ってきて今帰ってるとこ」
『一人で帰ってんの?』
「うん…でも大丈夫だよ、もう着くから」
陸さんはあたしが夜遅い時間に一人で歩くことをものすごく嫌がる。
多分それは百合さんの事があったからなのかな。
『気をつけろよ?』
「うん…」
しばらく沈黙が続いて。
何を話したらいいのかわからなくなってしまう。
電話越しに聞こえる車の音とかで、陸さんも外にいるのだとわかった。
「陸さんは仕事終わったの?」
『あー…あのさ。俺、先輩が働いてる居酒屋で夜たまにバイトすることなった』