乱華~羽をくれた君~Ⅱ【完】
「あー。俺も」
「…来ると思ってた」
「あ?」
「あたしに話があるんでしょ?今夜仕事が終わったら会わない?」
美優は意外にも普通に接してくれた。
でもあの頃の事、忘れてるわけねーよな。
俺達は仕事後に近くのファミレスで会う約束をした。
今日は奈緒もバイト休みだっつってたし、鉢合わせになることはないだろう。
夜仕事が終わり、待ち合わせ場所のファミレスに行くと、美優が先にきていた。
俺の顔を見るなり、また笑顔を見せてきた。
「早く着いちゃった」
俺は無言で美優の向かい側の席に座った。
「陸、あの頃より男らしくなったね…当たり前か。もう五年くらい経つんだもんね」
確かに。美優も付き合ってた頃より髪も長くなり、女らしくなっていた。
こいつは昔から美人だったから、連れて歩くにはいいかなと思って付き合ったんだっけ。