乱華~羽をくれた君~Ⅱ【完】

美優はアイスティのストローをくるくると回し始めた。


「…まさか藤沢さんの彼氏だったとはね…」


「ああ。俺もまさかお前があそこで働いてるとは思わなかった」


奈緒が時々“マックの先輩”の話をしていた。

元彼を忘れられないでいると奈緒に言っていたらしい。

もしかしたらそれは…


「藤沢さんに陸と付き合ってたってこと、内緒にしててほしいんでしょ?」


美優は俺が頷いたのを見て、一つため息をついた。


「変わったね…あの頃の陸は彼女のために動くような人じゃなかったのに」


「そう…だな」


「小野先輩に族も引退したって聞いて驚いたの。あんなにみんなと走るのが大好きだった陸が18で辞めるなんてって」


小野先輩は乱華の時一緒に走ってた先輩で、美優の事も小野先輩から紹介してもらった。


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