ボクの中のキミへ
夏祭り
真夏の暑い日。


夏休みも前半が終わりに近付いた8月の初め、僕は毎年恒例の祭りを楽しみにしていた。


「海!宿題終わったの?まだならお祭りは行っちゃダメよ!」


僕の名前は海(カイ)

母親が海でプロポーズされた事をきっかけでこの名前になったようだ。


夏休みに入り、毎日宿題の話しをされている。
きっと僕が一人っ子だから、教育熱心になっているんだと思うけど‥


「終わったってば‥まあ君と祭り行ってもいいよね?」


「まあ君と行くの?あの子はいい子だからお母さん好きよ」


親の考える事なんて僕には読めてる。


【まあ君】、クラスで成績優秀なその子の名前を出せば母は簡単に許してくれる事を。



僕はその頃、悪智恵の働く小学生だった。


まあ君とは近所に住んでいて、今年三年生で初めて同じクラスになった。


僕もまあ君もお互いの親には気に入られていたから、名前を頻繁に使っていた。


祭りには行くけど、一緒には行動しない。
二人共、単独行動が好きなんだ。

待ち合わせている事は事実だから、嘘にはならない。


だから今日も待ち合わせて祭りに行き、個々に楽しむ予定でいた。
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