ボクの中のキミへ
長くない‥?


目を背けて来た現実を、突き付けられた気がした。


「ど‥どういう事?」


(昨日の夜‥神様にそう言われたの‥)


神様。


それは柚に、人の中に住む事のできる力をくれた人。


(だから私ね、海君に私の事見てほしいの。)


「柚が‥いなくなるはずないよ。きっと目を覚ますよ‥」


無理に笑ってそう言った。

柚がいなくなるという現実を‥俺は受け入れられない。


だって柚はこんなに‥元気じゃないか。


(私は‥海君を直接見たい。最初で最後かもしれない‥だから‥)


「何でそんな事言うんだよ!柚がいなくなるわけ‥ないだろ!」


一人で泣き叫ぶ俺を、周りの人達は避けていた。
でも、今はそんな事気にならない。


俺はその後、柚の言葉も聞かずにただ必死に走って家に帰った。


柚はもう俺に話しかけなくなっていた。


家に帰ってすぐベットに潜り込み、俺は泣き続けた。



小学3年生の夏祭り、柚と出会った。


あれから6年‥


柚が目を覚ますのを待っていたのに‥


でも‥

このまま俺は現実から逃げ続けるのか?

柚の辛さを分かってあげないまま、自分の意思を貫くのか?

このままもし柚がいなくなったら‥


柚は俺の中に入って良かったと思うだろうか。
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