ボクの中のキミへ
午後7時になり、僕はまあ君を家まで迎えに行った。


「まあ君の名前出したら簡単に許してくれたよ」


家での出来事を僕はまあ君に話した。


「僕もだよ。海と行くって言ったらこずかい多めにくれた」


二人で笑った。

友達との時間はこれくらいでいいん。


僕はべったりするのが嫌いな子供だから‥


まあ君も同じ考えだ。


まあ君と祭りの開催されている広場に向かい
「9時に広場の入り口で」
そう約束して別行動になった。


こんな時みんなは友達と行動するんだろうけど‥


僕は一人が好きなんだ。


まあ君は好きだけれど、誰かとずっとべったり一緒だと疲れる。

僕は一人っ子で、小さい頃からずっと一人だったからかも知れない。


慣れた足取りで僕は祭りを満喫した。


かき氷を買い、輪投げもした。
綿菓子も焼きそばも食べた。

時間はあっという間にすぎ、時計を見ると残り30分になっている。


少し‥疲れたな。


露店の裏にはベンチが所々置いてある。

少し座って時間を潰す事にした。


祭りは最高潮に賑わっている。
僕のいる露店の裏は、まるで別世界のように静まり返っていた。


その静けさが心細くなり、少し早いけれどまあ君と約束した場所に向かおうとベンチを立った。


「ねぇ‥」


いつの間にか、目の前に見た事のない女の子が僕の前に立ち、話しかけてきた。


僕と同い年くらいだろうか‥?


「‥なに?」


知らない子と話すのは苦手だ。

目を逸らしている僕とは違い、その女の子は僕を真っ直ぐに見つめてこう言った。


「中に入ってもいい?」


突然の質問に戸惑った。
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