ボクの中のキミへ
(あのお守り持ってる?)


お守り、それは柚と出会った時に渡された水晶。


それが割れると柚は消える


柚がそう言っていた。


小学生の夏祭り以来、俺はその水晶を片時も離した事がない。

高校生になってからは、水晶にチェーンを通してネックレスとして首に着けている。


「‥もってるよ。俺の宝物だから。」


首元に手を延ばして言った。


‥!!


俺はその時触ったお守りの形に異変を感じた。


(水晶‥小さくなってるでしょ?)


今までとは明らかに小さくなっている事に初めて気付いた。


(私‥もう)


「柚!!」


柚の言葉を遮った。

柚がいなくなる。

このお守りがなくなると柚は‥!!


「何でだよ柚‥冗談だろ‥?」


うまく話せない。

柚がいなくなる?

そんな事‥信じたくない。


(私に素敵な時間をくれてありがとう‥)


「やめろよ!俺は認めない!柚が‥柚がいなくなるなんて!」


柚の困った顔が浮かんだ。


今は‥
今だけは柚を困らせてもいい。


「医者に‥なるから!それまで耐えてくれよ‥」


俺は泣いて柚に頼んだ。


水晶がますます小さくなっている事を、手の平で感じながら。
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