ボクの中のキミへ
女の子は悲しい顔で、確かにそう言った。



中に入ってもいい?



その時僕は少しだけ君を怖いと感じたんだ。


「どういう意味?」


聞くと君は、ポケットから水晶玉を取り出し僕に差し出した。


「これ‥お守り。割れると私いなくなっちゃうからね」


僕がその水晶玉を掴んだ瞬間、辺りは白い光りに包まれ何も見えなくなった。

眩しくて目を閉じている間に、女の子は僕の前から姿を消した。


きっとこんな話し、誰も信じてくれないと思う。

だからまあ君にも言わない。

バカにされたくないから。


その日は帰ってからずっと、水晶玉のお守りを見つめていた。


もしかして勘違い?


そう思いたかった。


でも‥

ベットに入ってから、僕は異変に気付いてしまった。


(ありがとう‥海君!)


部屋には誰もいない‥

声もしない‥

今のは一体‥?


(私の名前は柚(ゆず)だよ)


でも確かに僕の頭の中にその声が入ってくる。


「だ‥誰!?」


子供だけど、幽霊なんて非科学的な事僕は絶対に信じない。

けれどもこの時だけは、怖くて泣き叫びたかった。


(今日お祭りで会ったじゃない‥)


忘れたの?


そう言いたげに悲しい声が頭に響く。
< 3 / 23 >

この作品をシェア

pagetop