【短編】野球バカに恋した結果
「なんで?理由は?」
「自分でもよく分かんねえ」
夕日に染まるオレンジ色のグラウンドなんか、校舎内に鳴り響いている下校のアナウンスなんか、今はどうでもいい。
あたしは、ただ荒くなる息づかいを必死に抑えた。
「何かあったの?相談くらいのらせてよ。頼りないかもしれないけど、あたしだってマネージャーなんだから」
「何もねえよ、ただ辞めたくなった」
あたしは今、誰と話しているのだろう。
いつも野球のことしか頭になくて、授業中に寝言で応援歌歌っちゃう大輝はどこにいるのだろう。