恋する季節 *- confession of love -*
恋する夏
*- 1 -*
*- 1 -*
「ちゃんと考えてみてくれない? 早坂さん」
「でも、付き合ってる人がいるから……ごめんなさい」
「黒崎だろ? 知ってるけど……でも、正直黒崎と早坂さんじゃ合わないと思うんだ」
お昼休みになると同時に知らない男子生徒に呼び出された早坂美琴が、断ってもなかなか引いてくれない男子をじっと見つめる。
連れてこられたのは、使われていない教室。
広田、と自分の事を自己紹介してから告白をされたのが、五分前の事だ。
その間、美琴がごめんなさいと口にした回数、七回。
広田がしつこいくらいに食らいついてくるのは、そういう性格だからという理由だけではなく、どうやら美琴の彼氏に不満があるかららしい。
「……なんでですか?」
わずかに眉間にしわを寄せながら聞いた美琴に、広田は笑みを浮かべる。
あざけ笑っているような、嫌な笑みだった。
「大学内で一番モテるようなヤツが、遊んでないとでも思ってる?
あいつ、大学内だけじゃなくて他の学校の女からも言い寄られてるし、絶対つまみ食いとかしてると思うんだよね」
そこで一息おいた広田は表情を一転させ、今度は困り顔で微笑む。