恋する季節 *- confession of love -*
男に対しては辛口の彩乃でさえ、どんな女だって落とせるだろうと思うほどの外見を持つ大和。
きっと一晩の恋だろうが半日の恋だろうが一時間の恋だって許されそうなものなのに。
何もできなくても、それでも美琴がいいのかと、美琴が大和の気持ちに追いつくまで本当に待っているつもりなのかと、そんな事に呆れて笑ってしまった。
というよりもまず、自ら異常だと認めそうなほどに大きい大和の気持ちに美琴の気持ちが追いつくなんて、ほぼ不可能な事に気づきそうなものなのにと、そんな事に気づかない大和もおかしくて。
どうせ大和の気持ちは膨れ続けるのだろうから、美琴がかなりのスプリンターでもない限りそれに追いつく事なんて冷静に考えてないのだ。
しかも、そもそもスタート位置が地球一周分くらい違いそうだし追いつくわけがないじゃない、と考えながら彩乃がもじもじしているふたりの様子を眺める。
大和と美琴が付き合い始めてもう二ヶ月目。
大和の片思いを入れれば、二年ほど。
いや、大和が美琴に惚れ込んですぐ近づいてきたとは思えないからもっとかもしれないと、彩乃は考える。