恋する季節 *- confession of love -*


彩乃がここまで燃えているのにはわけがある。

友達思いというのもひとつの理由ではあるのだが、一番の理由は、Nランドのチケットを渡した後、大和にこっそりおごらせたライブチケットだ。

あんたのために美琴を誘ってやったんだからね?と恩着せがましく詰め寄り、チケット半額浮いたんだからその分で買ってよとお願いしたのは、今人気絶頂のアイドルグループのライブチケット。
普通では手に入らないモノだったが、大和の親経由であればもしかして、とダメ元でお願いして、数日後大和からまさかのOKの返事が返ってきた。

かなりのレアチケットに感激して泣きそうになりながら喜んでいた彩乃だったが……そのすぐ後、「Nランドで打ち上げやるぜ、イエイ☆」的な噂が流れ始めて。
その噂は、大和がチケットを彩乃に手渡す前に、大和の耳にも届いてしまった。

ふたりきりじゃねぇのかよ話が違うじゃねぇか!とキレた大和が素直にチケットを渡すハズもなく、話し合いの末、今日のサポートの出来次第でチケットをもらえる事になっていた。

「まぁね」
「でも、都合つかないって言ってたけど、大丈夫だったの?」
「都合つけてきたから。今の私に、ここに来る以上に大事な事なんてないもの」
「そうなの? それにしてもやっぱり浴衣の子が多いね」






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