恋する季節 *- confession of love -*


「そんなハッキリしない態度の私が大和の隣にいるのって、浅海さんとかからしたら嫌だったと思う。
それでも浅海さんは、大和と今日少しでも一緒に過ごしたいからって……気に入らないハズの私に頭を下げてた」

美琴は、少しツラそうな顔をして目を伏せる。

浅海が頭を下げたのが事実だとしても……いや、美琴は嘘をつくような子ではないから事実なのだろうけれど、だとしても大和が好きなのは美琴なのだから、そんなお願いに付き合ってやる必要なんかないのにと彩乃は思う。

美琴だって、好きだと告白はできていないかもしれないが、心の中では大和が好きなのだから、そんなお願いを受け入れるなんてツラいだけのハズなのに。

大和も当の本人の美琴でさえ損しかしない、美琴のお人よし病が出てしまったのかと考えながら、彩乃は話を黙って聞いていた。

「私には……浅海さんのお願いを断る資格なんてないと思って、だから頷いたの。
たった一言を言う勇気も出せない私が、大和に好かれてるっていう理由だけで大和の隣を独り占めする権利なんてないと思ったから」
「でもそんなの……」
「けど。浅海さんのお願いをきくのは夜になるまで」
「え? 夜までって?」
「私だって、他の女の子と大和がずっと一緒にいるのは嫌だもの。
夜になったら、取り返す」



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