恋する季節 *- confession of love -*
取り返す。
気の優しい美琴には似合わない言葉に思えて、ずっと静かに聞いていた彩乃が思わず笑いを吐き出す。
意気込んでいる美琴には悪いが、肉食系女子に囲まれている大和を取り返すなんて荒業が美琴にできるとは到底思えなかった。
笑いながら彩乃は、そうか夜までの時間が、美琴の反省時間なのかと考える。
今までのふがいない自分に対しての、反省時間。
わざわざそんな罰を自分に科さなくてもいいのにと思うのが本音だが、真面目な美琴らしいとも思ってしまって反対しようとも思わなかった。
知らずにその罰に付き合わされる大和が可哀想ではあるが、美琴を溺愛している大和の事だ。
後で事情を話せば、一緒に罰を受けられた事さえ喜ぶだろうし、むしろ美琴が受けなければいけない罰なら自分が身代わりになると言うだろうから問題ないだろう。
納得できないと言い出しても、美琴が一言ごめんと謝ればそれで簡単に許される。
そう判断してから、彩乃が美琴に言う。
「取り返せるの? なんか浴衣で着飾ってるハンターが今日はわんさかいるけど。
取り返しにいったところで弾き飛ばされるだけじゃない?」
「でも、もう決めたから。日が落ちたら大和を誘って彩乃が言ってた観覧車に乗って……告白して胸張ってちゃんとした彼女になるって」