恋する季節 *- confession of love -*


「じゃあ、美琴が黒崎とうまくふたりきりになれるように私がサポートするわ。
安心して。絶対にふたりきりにさせてあげる」

にっこりと笑う彩乃に美琴も笑顔を浮かべたが、すぐに心配そうな表情に変える。

「あ、でもそんな事気にしてたら彩乃が楽しめないし……」
「大丈夫よ。元から楽しむ気なんてないから」
「え?」
「元々、美琴と黒崎にいい思い出を作らせたくて参加しただけだし。
だから美琴は何も気にしなくていいからね」

対価は黒崎からもらう約束してるし、とは言わずに彩乃が微笑む。

「浅海さんの気持ちは分かるけど、私だって美琴と黒崎の思い出づくりしにきたんだから。
思い出づくりに関しては絶対に負けないわ」

どんな事情があったにせよ、自分の彼氏を他の女に貸し出してしまう美琴のお人よしさもさることながら、美琴に言われたからといってそれに従ってしまう大和の従順さにも呆れてしまう。

どうやらこのふたりにいい思い出を作らせるのは思いのほか大変そうだ。

そんな風に思い、まったく仕方ないなとため息をついた彩乃が、美琴を連れて大和の集団に近づいて声をかける。


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