恋する季節 *- confession of love -*
だから、美琴が他の男の腕に自ら抱きついたのはハッキリ言って気に入らないが、美琴に近づくきっかけを探していた大和にとってはチャンスでもあった。
急に現れた大和に驚きながらも、美琴は「う、うん。ごめん」と笑顔を浮かべる。
そんな美琴に、どうやら隣にいても嫌がられなそうだと判断して、大和も微笑んで美琴を見た。
そして、会った時から言いたくて言えなかった事を今言おうと、こほんと咳払いをひとつしてからゆっくりと口を開く。
「ずっと思ってたんだけど……美琴の浴衣、すげぇ可愛い」
本当なら、会ってすぐに言いたかったのだが……。
大和のひいき目でなくても目を引くほどの可愛らしい浴衣姿に、口の端がデレっと緩まないようぎゅっと引き締める事に必死で、そうこうしているうちにNランドに到着してしまって言えなかったのだ。
少し照れながらもじっと見つめながら言った大和に、美琴が嬉しそうな笑顔を返す。
「ありがとう。これね、お母さんと半額ずつ出し合って買ったの。
帯をね、紫の濃いのにすればお母さんも着られるからって。
キレイな柄だよね」
「え、ああ、浴衣ももちろんキレイだけど……俺が言いたいのはそうじゃなくて、美琴が……うわっ」