恋する季節 *- confession of love -*
それでも、美琴にだって今日こそはと決めている事がある。
だからお化け屋敷を出たら、今度は何が何でも大和を奪おう。例え浅海がどんな顔で頼み込んできても、次は譲らない。
そんな風に決意し直して、ここでは大和を誘う事を諦める事にした。
でもそんなのは美琴の事情。
もちろん、大和は美琴とどうにかしてペアを組むべく、自分の周りで話し合いを始めた女子たちをかき分け美琴の元へ行こうとしたのだが……。
「あ、黒崎くん、逃げちゃダメ! 今誰が一緒に回るか決めてるんだから!」
数名の女子に服やら腕を掴まれ足を止められる。
「勝手にやってろっ。俺は美琴と……」
わずらわしく感じて、しかめっ面になりながら女子たちを断ろうとしていた時、大和の耳に「美琴ちゃん」と美琴を呼ぶ男の声が聞こえた。
咄嗟に視線を戻すと、そこには美琴が彩乃と間違えて腕を組んだ男が美琴に話しかけているところだった。
「一緒に回らない? 俺、何度もここ来てるからお化け屋敷の中の事もよく分かってるし」