恋する季節 *- confession of love -*
「大丈夫……。あの、今何があたったの?」
痛みはもちろんあるのだけれど、それよりも何があたったのかが不思議だった。
純粋に不思議がる美琴に、言いにくいのか大和は言葉に詰まってから、目を伏せて答える。
「その、抱き締めようかと思って近づいたら美琴が顔上げたからそれで……美琴が俺の顎に頭突きする形に……」
バツが悪そうに言った大和の言葉に、顔を赤くした美琴だったが。
自分が思いきり顔を上げたせいで、大和に頭突きをしてしまったのかと気づき慌てて謝る。
見れば、大和の顎が少し赤くなっている気がした。
「ご、ごめん! 私が急に顔上げたりしたから……!」
「いや、俺が調子に乗って抱き締めようとなんかしたからだから……っ。
ごめん、美琴が可愛くてつい……。
でも、よかった……頭突きしてくれて」
なんで頭突きをされてよかったのか。
安心したようにそう呟いた大和に美琴が意味が分からず首を傾げると、大和が困り顔で微笑む。
「衝動のまま抱き締めたりして嫌われたりしたら嫌だから。
俺の緩んだストッパーの代わりに美琴が頭突きして止めてくれたから、よかった」
そんな事を言う大和に、キュウウ……と美琴の胸が締め付けられる。